ヨタバナプレイログ 童話『デビルマッチ売りの少女』

彦山です。
昨日衝動買いした新作TRPGシステム「本当は○○な物語メーカー ヨタバナ」を読んでいて、冒頭に一人で遊べるソロシナリオが付いていたので、遊んでいたらノリノリでプレイログができてしまったので、公開します!

ちなみにルールブックのルール部分を読む前に出来上がったものなので、運用には間違いがあるかもしれませんので、その点ご了承ください!

童話『デビルマッチ売りの少女』

▽開始前

・ソロシナリオ限定・原典での設定表(1D6)
出目6 少女は悪魔

▽導入 

・後世での内容
マッチを売り切らなければ父親に打たれてしまうため、マッチ売りの少女は家に帰れない。なのに街の人々は彼女に目もくれない。
・原典での内容
売れないマッチをわざと売らせ、売れなければ叩く父親、いたいけな少女が凍えていてもマッチを買おうともしない通行人たち。人類に絶望し怒りを覚えたマッチ売りの少女は、魔王アモンと融合し、デビルマッチ売りの少女となった!!

「これが…これが私が命を削って奉仕していた人間の正体か!地獄へ堕ちろ人間ども!!!」

悪魔人間となった少女は口から地獄の炎を吐き、持っていたマッチ箱を燃やし尽くしてしまった。ポケットに忍ばせていたたった一本のマッチ棒をのぞいて。

▽本編

・後世での内容
夜も深まり寒さは増すばかり。少女は少しでも暖まろうとマッチに火をつける。するとストーブやご馳走などの幻影が現れる。しかし、マッチの火が消えるとともに、それらの幸せな幻影も消えてしまう。
・ソロシナリオ限定ランダムイベント表(1D6)

出目4 バクが幸せな幻影を食べに来る。追い払わなければ…

・原典での内容
少女の吐く地獄の炎が街じゅうに燃え広がり、大火事となった。
しかし、デビル少女の冷えた心は少しも温まることはない。人間への絶望で心は冷え切っていたのだ。助けを呼ぶ男、泣き叫ぶ女と子供。マッチの幻の中にしか見れなかった光景が、現実となって現れる。少女は少しだけ胸のすく感覚を覚える。
しかし、そこにバクの悪魔が現れて、彼女の望んだ光景を、その特殊能力でかき消していく。バクの悪魔は人の叶えた夢を取り消す能力を持っていたのど。火事の事実は取り消されていき、街の人々には平穏が戻っていく。
「貴様…!悪魔のくせに人間に味方するのか…!」
「俺はだれかの叶えた夢を食べ、そいつが絶望するのを見るのが無常の喜びなのさ。しかも取り消されだ事実はもう二度と起こらない。残念だったなデビル少女」
「よくも…!では貴様が地獄へ堕ちろ!!!!」
ビルマッチ売りの少女の放った地獄の炎で、バクの悪魔は消し炭になった。
しかし、街は元の状態に戻ってしまっている。何度街に地獄の炎を灯しても、現れる人間たちの絶望はただの幻影に過ぎず、街は二度と燃えることはなかった。

▽本編・山場

・後世での内容
次にマッチに火をつけると、優しかった祖母の幻影が現れる。マッチの火と共に、祖母が消えてしまうことを危惧した少女はすべてのマッチに火をつける。
・ソロシナリオ限定ランダムイベント表(1D6)
出目5 急にマッチの価値が跳ね上がり、大金で取引される
・原典での内容

人間への復讐の道が絶たれ、絶望する少女のもとに祖母の霊体が現れる。

「孫…いや我がパダワンよ…絶望と恐れは暗黒面に通じる。それではお前は本当のシスの暗黒悪魔になってしまう。あくまで人間でいるのだ。フォースと共にあれ」

祖母の言葉に心を入れ替えたデビルマッチ売りの少女だったが、街の様子がおかしいことに気づく。

「ストーブに火がつかないぞ!」「寒い、このままでは凍え死んでしまうわ!」

どうやらバクの悪魔の能力は、街にあるすべてのものを燃えない状態にしてしまったようだった。デビル少女ははたと思いつき、ポケットから何かを取り出して叫んだ。

「この街に住む生きる価値のない人間ども!ここに唯一燃えるマッチ棒があるぞ!!」

デビル少女の体を覆う暗黒面のフォースフィールドに守られていたマッチ棒は、バクの燃えない呪いの影響を受けることなく、その発火能力を残していたのだ。

街の人々はデビル少女の周りに集まり、マッチ棒一本欲しさに我先に交渉を持ちかけてくる。

「100万出す!どうかそのマッチ棒を俺に売ってくれ!」「いや俺が買う!俺はこの街1番の富豪だ!燃えるマッチをくれたら何でも好きなものをやろう!」

デビル少女はにやりと笑うと、指先で摘んだマッチ棒にふっと息を吹き替えるように炎を吐き、点火した。

「ああ、あたたかい、あたたかい」

マッチ棒はあっという間に燃え尽き、人々は絶望の声を上げた。

▽おしまい

・後世での内容

新しい年の朝、死んでいる少女。

祖母と出会えたためか、少女の顔は微笑んでいた。

・原典で内容

翌朝、騒動を聞きつけて首都からやって来た公安のデビルハンターによって、デビルマッチ売りの少女は駆除された。

「なかなか手強い悪魔でしたね」

「ああ、だが我々が来る前に別の悪魔もいたらしい。そいつがこの街に残した燃えない呪いのほうがやっかいだな…街の住民の大半が凍死してしまった」

「この子が殺しちゃったから、呪いは強固な物になっちゃいましたもんね、死後強まる念ってヤツですか〜…先輩どうしたんすか?悪魔の死体なんか見つめて」

「な〜んかこいつ…笑ってねえか?」

新人デビルハンターの目には、自分たちに八つ裂きにされた悪魔の少女が確かに微笑んでいるように映った。

「ほんとだ、なんか死ぬ間際に嬉しいことでもあったんですかね」

▽百科事典

『マッチ売りの少女』とは、童話である。

晦日の寒い夜に、マッチを売る少女が、マッチの火の中に幸せな幻影を見ながら死んでしまうという悲劇が描かれている。

しかし、現在広く知られている『マッチ売りの少女』の物語は、後世に伝わる中で変化しており、原典とは異なる部分が見られる。

まず、登場人物についてだが、主人公であるマッチ売りの少女は魔王アモンと融合したデビルマッチ売りの少女という存在であった。

物語本編についても、広く知られている後世に伝わる内容とは異なる部分が見られる。

マッチ売りの少女がマッチを売る場面だが、原典ではマッチが売れない絶望からデビルマッチ売りの少女として顕現し、地獄の炎でマッチ箱ごと街を焼き尽くすという内容になっていた。

また、マッチ売りの少女がマッチに火をつけ、幸せな幻影を見る場面では、焼け落ちる街を喜ぶ少女とその破壊を食い止めるバクの悪魔の戦いが始まるという展開が起きている。

そして、マッチ売りの少女が、優しかった祖母の幻影を見る場面も、祖母のフォースの霊体から助言を得るが、バクの悪魔の能力の副産物として街に混乱が生じ、それを利用して少女が精神的復讐を果たすという展開であったようだ。

我々が知る『マッチ売りの少女』では、マッチ売りの少女は、最後に死んでしまうが、原典では公安のデビルハンターに駆除されるという結末を迎えている。

このように『マッチ売りの少女』は原典と後世で知られているものとでは、後世に伝わる内容が大きく異なっている。

しかしそのどちらも素晴らしい物語であるといえる。

きっと『マッチ売りの少女』という物語は、原典、後世で知られているもの、そのどちらも、多くの読者を楽しませて来たことだろう。

オトギグラシ ソロジャーナル プレイログ「ディクソン調査隊開拓日誌〜悲しきガマの涙〜」

彦山の推しクリエイターである駄兎本舗はったさんの新作TRPGファンタジーライフRPG オトギグラシ」が冬コミC103にて頒布されるとのこと!

 

GMレスで一人で遊べるソロジャーナルパートとGMありでみんなで遊べるTRPGパートで構成されているシステムです。先日一足先にTRPGパートをはったさん本人に回していただき、とても面白かったので、ソロジャーナル部分も遊んでみました。

ソロジャーナルで出来上がった旅の記録が、そのままTRPGパートのシナリオとして使用出来るとのことで、せっかくなので、公開することにしました!

もしよければ、オトギグラシのセッションにこのプレイログをばんばん使ってください!

 

オトギグラシ ソロジャーナル プレイログ「ディクソン調査隊開拓日誌〜悲しきガマの涙〜」

開拓士

ディクソン(竜人、男、26才、動機:挑戦、仲間:同志)

はじまりの地(クローバー7)

~翼の風は森へ向かう~

ガリス……ロマンと冒険が待つ古代の大陸。
遥か遠い国、竜人ヴリトラから長い旅路を超えやって来た我々ディクソン調査隊は、ついにその地に足を踏み入れた。
目的はこの地のヌシを見つけ、祖国の利益となる何かを持ち帰ること。
行く手には果たして何が待ち受けるのか。それは我々を導く風だけが知っている。

両翼に風を受けながら、導かれるままに隊を進めていると、遠くに森が見えてきた。
鬱蒼とした木々に阻まれ、上空からではその全容をうかがい知ることはできない。
我々は〈森林〉の内部へ向かうため、地上に降り立った。

風の吹く平原(クローバー6)

~熱帯の行軍~

地上に降り立つとそこは高温高湿の平原だった。灼熱の熱波が全身を焼く。

なるほど、これでは並みの開拓者ならすぐに音を上げてしまうことだろう。これがメガリスか。面白い。

熱には強い我々竜人族だが、さすがに音を上げる隊員も出始めた。しかし森はすぐそこだ。たどり着けば一息つける場所もあるだろう。

魔獣の巣(クローバー9)

~蝗害~

たどり着いた先は熱帯のジャングル。
姿こそ見えないがいろいろな生き物の奇妙な鳴き声がそこかしこから聞こえてくる。メガリスの地には多くの魔獣が住むという。周囲に警戒しつつも、歩を進める。

日も暮れ、周囲も暗くなってきたその時、隊の後方から悲鳴が上がった。駆け付けると、大量の羽をもつ虫が隊員たちを襲っている様子が目に入った。

……バッタ? 大量のバッタの群れだ。隊員たちは大量のバッタにまとわりつかれながらも、尻尾や炎のブレスで追い払おうとはしているが、あまりの数に対処が追いついていないようだ。このままでは犠牲者が出かねない。

素早く目を凝らしてみると、どうやらとある樹木から大量のバッタが湧き出るように飛び出している。私はその樹木めがけ、口から火球を放った。火を恐れたのか、その樹木は隠していた足を地中から抜き出し、一目散に逃げていった。

森の木々に擬態して人を襲うとは。あれがメガリスに巣くう魔獣。これからはさらに気を引き締めて進まなければなるまい。

なんとか魔獣は追い払うことができたが、バッタにやられた負傷者が相当数出てしまった。ここは一度休息をとり、体制を整え直さねば。

キャンプ(ハート10)

~竜の巣の泉~

負傷者をかかえながらも、ジャングルの中を進むと、清潔な水で満たされた泉にたどり着いた。
周囲を確認させたが、さしあたっての危険はなさそうだ。

ここなら開拓の拠点とすることができるだろう。幸いここには我々竜人族の住まいである「竜の巣」を作るための枝葉が大量にある。
動ける隊員には既に巣の建築の指示を出した。ほどなくして快適な居留地となることだろう。
今夜は完成した「竜の巣」のベッドで、快適に眠れることを願おう。

収穫地(ハート6)

~トリモモ肉~

「竜の巣」の建築も順調に進んでいる。さて、そろそろ食事をとらなくては。
腹が減っては探索はできぬ。我々調査隊は、メガリスに訪れてから一度も食事の時間を取れていなかったのだ。そんな折、付近で物資の捜索していた隊員から奇妙な生物を見つけたとの報告があがった。

話を聞くと、赤いトサカを持った小さな鳥で、その鳥は、いくら追いかけられても空を飛ばずに、ただ地面を走るばかりだという。何よりその鳥を捕えて食べると、その肉は奇妙なことに桃のように甘い美味だったのだ。隊員たちはその鳥の肉をたちまち気に入ったようだ。その肉を「鳥桃肉」と名付け、今夜のメインディッシュにすることになった。竜人族好みの瑞々しいあの食感では、皆が夢中になるのも仕方あるまい。

私も一口その味を確かめたが、慎重を期すため食事は持ち込んだ携帯食料で済ませておいた。そうこうして夜は更けていき、私は作り立ての簡素な「竜の巣」のベッドで、明日の捜索に向けて眠りについた。

ヌシの縄張り(ハート7)

~悲しきガマが流すは猛毒の涙~

その日の深夜、事件が起こった。
多くの隊員たちが腹痛を訴え始めたのだ。どうやら「鳥桃肉」をたくさん食べた者ほど、激しい腹痛に襲われているようだ。
私は原因を探るため、比較的症状の軽い隊員数名を連れてあの鳥たちが多く生息しているエリアへと向かった。寝息を立てる鳥たちを横目に付近を調べていると、何者かのすすり泣くような声が聞こえてきた。

「ううう……うう……」

音を立てないように声の方へ近づくと、そこにいたのはなんと身の丈10mほどもある巨大なガマガエルだった。その巨体に見合わない小さな沼に浸かりながら、体を震わせてすすり泣いているようだ。

私は思わず、大丈夫か、と声をかけてしまった。すると、はっとこちらを振り向いたそのガマは、あわてたように言った。

「待って、こちらへ来てはダメ」

話を聞くと、彼女はこの熱帯ジャングルのヌシで、名前を「トーディリア」というらしい。かつてはたくさんの仲間とともにこのジャングルに住んでいたのだが、彼女の涙はなぜか毒性を帯びるようになってしまい、それ以来彼女は一人なのだという。沼は彼女の流した涙でできたもので、彼女以外の生物にとっては猛毒らしい。よく見れば例の鳥がその沼で水浴びをしているではないか。なるほど、腹痛の原因は彼女の涙の毒だった、というわけか。

「アタシ、みんながいなくなって、寂しくて寂しくて仕方ないの。でも寂しくて、悲しくなると、またこの涙が流れてしまう」

どうやら彼女の仲間は、毒の涙を嫌って彼女のもとを去ってしまったらしい。私は彼女の仲間たちを呼び戻すという条件のもと、我々の目的である「祖国の利益」に協力してもらう約束を取り付けた。

村の名は「ロンリー・トーディー・トキシック・スワンプ」

この地のヌシであるトーディリアの状況を踏まえ、我々はこの開拓地を「ロンリー・トーディー・トキシック・スワンプ(孤独なトーディリアの有毒な沼)」と名付けた。

さっそく彼女の仲間を探さなくては。しかし、なんの当てもないうえに、我々調査隊の隊員たちの大半は毒によって戦線離脱状態だ。しかも、よしんば彼女の仲間を見つけられたとしても、彼女の毒の涙が解決しないことには説得も難しいだろう。

もはや協力者を募るしか選択肢はなさそうだ。優秀な錬金術師がここを訪ねてくれることを望む。

 

---ディクソン調査隊開拓日誌より抜粋