オトギグラシ ソロジャーナル プレイログ「ディクソン調査隊開拓日誌〜悲しきガマの涙〜」

彦山の推しクリエイターである駄兎本舗はったさんの新作TRPGファンタジーライフRPG オトギグラシ」が冬コミC103にて頒布されるとのこと!

 

GMレスで一人で遊べるソロジャーナルパートとGMありでみんなで遊べるTRPGパートで構成されているシステムです。先日一足先にTRPGパートをはったさん本人に回していただき、とても面白かったので、ソロジャーナル部分も遊んでみました。

ソロジャーナルで出来上がった旅の記録が、そのままTRPGパートのシナリオとして使用出来るとのことで、せっかくなので、公開することにしました!

もしよければ、オトギグラシのセッションにこのプレイログをばんばん使ってください!

 

オトギグラシ ソロジャーナル プレイログ「ディクソン調査隊開拓日誌〜悲しきガマの涙〜」

開拓士

ディクソン(竜人、男、26才、動機:挑戦、仲間:同志)

はじまりの地(クローバー7)

~翼の風は森へ向かう~

ガリス……ロマンと冒険が待つ古代の大陸。
遥か遠い国、竜人ヴリトラから長い旅路を超えやって来た我々ディクソン調査隊は、ついにその地に足を踏み入れた。
目的はこの地のヌシを見つけ、祖国の利益となる何かを持ち帰ること。
行く手には果たして何が待ち受けるのか。それは我々を導く風だけが知っている。

両翼に風を受けながら、導かれるままに隊を進めていると、遠くに森が見えてきた。
鬱蒼とした木々に阻まれ、上空からではその全容をうかがい知ることはできない。
我々は〈森林〉の内部へ向かうため、地上に降り立った。

風の吹く平原(クローバー6)

~熱帯の行軍~

地上に降り立つとそこは高温高湿の平原だった。灼熱の熱波が全身を焼く。

なるほど、これでは並みの開拓者ならすぐに音を上げてしまうことだろう。これがメガリスか。面白い。

熱には強い我々竜人族だが、さすがに音を上げる隊員も出始めた。しかし森はすぐそこだ。たどり着けば一息つける場所もあるだろう。

魔獣の巣(クローバー9)

~蝗害~

たどり着いた先は熱帯のジャングル。
姿こそ見えないがいろいろな生き物の奇妙な鳴き声がそこかしこから聞こえてくる。メガリスの地には多くの魔獣が住むという。周囲に警戒しつつも、歩を進める。

日も暮れ、周囲も暗くなってきたその時、隊の後方から悲鳴が上がった。駆け付けると、大量の羽をもつ虫が隊員たちを襲っている様子が目に入った。

……バッタ? 大量のバッタの群れだ。隊員たちは大量のバッタにまとわりつかれながらも、尻尾や炎のブレスで追い払おうとはしているが、あまりの数に対処が追いついていないようだ。このままでは犠牲者が出かねない。

素早く目を凝らしてみると、どうやらとある樹木から大量のバッタが湧き出るように飛び出している。私はその樹木めがけ、口から火球を放った。火を恐れたのか、その樹木は隠していた足を地中から抜き出し、一目散に逃げていった。

森の木々に擬態して人を襲うとは。あれがメガリスに巣くう魔獣。これからはさらに気を引き締めて進まなければなるまい。

なんとか魔獣は追い払うことができたが、バッタにやられた負傷者が相当数出てしまった。ここは一度休息をとり、体制を整え直さねば。

キャンプ(ハート10)

~竜の巣の泉~

負傷者をかかえながらも、ジャングルの中を進むと、清潔な水で満たされた泉にたどり着いた。
周囲を確認させたが、さしあたっての危険はなさそうだ。

ここなら開拓の拠点とすることができるだろう。幸いここには我々竜人族の住まいである「竜の巣」を作るための枝葉が大量にある。
動ける隊員には既に巣の建築の指示を出した。ほどなくして快適な居留地となることだろう。
今夜は完成した「竜の巣」のベッドで、快適に眠れることを願おう。

収穫地(ハート6)

~トリモモ肉~

「竜の巣」の建築も順調に進んでいる。さて、そろそろ食事をとらなくては。
腹が減っては探索はできぬ。我々調査隊は、メガリスに訪れてから一度も食事の時間を取れていなかったのだ。そんな折、付近で物資の捜索していた隊員から奇妙な生物を見つけたとの報告があがった。

話を聞くと、赤いトサカを持った小さな鳥で、その鳥は、いくら追いかけられても空を飛ばずに、ただ地面を走るばかりだという。何よりその鳥を捕えて食べると、その肉は奇妙なことに桃のように甘い美味だったのだ。隊員たちはその鳥の肉をたちまち気に入ったようだ。その肉を「鳥桃肉」と名付け、今夜のメインディッシュにすることになった。竜人族好みの瑞々しいあの食感では、皆が夢中になるのも仕方あるまい。

私も一口その味を確かめたが、慎重を期すため食事は持ち込んだ携帯食料で済ませておいた。そうこうして夜は更けていき、私は作り立ての簡素な「竜の巣」のベッドで、明日の捜索に向けて眠りについた。

ヌシの縄張り(ハート7)

~悲しきガマが流すは猛毒の涙~

その日の深夜、事件が起こった。
多くの隊員たちが腹痛を訴え始めたのだ。どうやら「鳥桃肉」をたくさん食べた者ほど、激しい腹痛に襲われているようだ。
私は原因を探るため、比較的症状の軽い隊員数名を連れてあの鳥たちが多く生息しているエリアへと向かった。寝息を立てる鳥たちを横目に付近を調べていると、何者かのすすり泣くような声が聞こえてきた。

「ううう……うう……」

音を立てないように声の方へ近づくと、そこにいたのはなんと身の丈10mほどもある巨大なガマガエルだった。その巨体に見合わない小さな沼に浸かりながら、体を震わせてすすり泣いているようだ。

私は思わず、大丈夫か、と声をかけてしまった。すると、はっとこちらを振り向いたそのガマは、あわてたように言った。

「待って、こちらへ来てはダメ」

話を聞くと、彼女はこの熱帯ジャングルのヌシで、名前を「トーディリア」というらしい。かつてはたくさんの仲間とともにこのジャングルに住んでいたのだが、彼女の涙はなぜか毒性を帯びるようになってしまい、それ以来彼女は一人なのだという。沼は彼女の流した涙でできたもので、彼女以外の生物にとっては猛毒らしい。よく見れば例の鳥がその沼で水浴びをしているではないか。なるほど、腹痛の原因は彼女の涙の毒だった、というわけか。

「アタシ、みんながいなくなって、寂しくて寂しくて仕方ないの。でも寂しくて、悲しくなると、またこの涙が流れてしまう」

どうやら彼女の仲間は、毒の涙を嫌って彼女のもとを去ってしまったらしい。私は彼女の仲間たちを呼び戻すという条件のもと、我々の目的である「祖国の利益」に協力してもらう約束を取り付けた。

村の名は「ロンリー・トーディー・トキシック・スワンプ」

この地のヌシであるトーディリアの状況を踏まえ、我々はこの開拓地を「ロンリー・トーディー・トキシック・スワンプ(孤独なトーディリアの有毒な沼)」と名付けた。

さっそく彼女の仲間を探さなくては。しかし、なんの当てもないうえに、我々調査隊の隊員たちの大半は毒によって戦線離脱状態だ。しかも、よしんば彼女の仲間を見つけられたとしても、彼女の毒の涙が解決しないことには説得も難しいだろう。

もはや協力者を募るしか選択肢はなさそうだ。優秀な錬金術師がここを訪ねてくれることを望む。

 

---ディクソン調査隊開拓日誌より抜粋